「海外ゲストは実際に何を基準に宿を選んでいるのか」——これまでの記事では経験則やベストプラクティスとして解説してきましたが、この記事では実際に発表されている調査データをもとに、海外旅行者の宿泊施設の選び方を整理します。自社の英語コンテンツの訴求ポイントを見直す際の参考にしてください。
調査1:ホテル選びの決め手は「立地×価格×快適さ」
訪日外国人観光客を対象に2026年に実施された宿泊需要調査(東急歌舞伎町タワーおよびHOTEL GROOVE SHINJUKUで実施)によると、宿泊施設を選ぶ際に「最も重視すること」として、**「立地(駅・観光地へのアクセス)」が53.4%**でもっとも多く選ばれました。次いで「価格」が28.4%、「部屋の広さ・快適さ」が23.0%と続いています。
同調査では、宿泊自体が「旅行体験の一部」と捉えられている傾向も示されており、単に寝る場所としてではなく、滞在そのものが旅の満足度に影響する要素として重視されていることがうかがえます。また、回答者の約9割が1週間以上の長期滞在をしているという結果も出ており、滞在期間の長さが宿泊施設への期待値の高さにもつながっていると考えられます。
調査2:訪日前に期待されるのは「接客」「トイレ」「入浴」
TOTO株式会社が実施した訪日外国人の宿泊施設へのニーズ調査では、訪日前に期待していたこととして、**1位が「接客」(57.8%)、2位が「トイレ」(56.5%)、3位が「入浴」(48.7%)**という結果が示されています。
特に「トイレ」が上位に入っている点は注目に値します。同調査では、和式トイレを経験した旅行者のうち11.7%が「二度と使いたくない」と回答しており、水回りの快適さ・清潔さが、宿泊施設選びにおいて想像以上に重視されていることがわかります。
調査3:旅館に泊まる外国人客が重視する「旅館らしさ」
国土交通省の調査研究(国土交通政策研究第119号「旅館ブランドに関する調査研究」)では、実際に旅館に宿泊した外国人客を対象に、旅館の施設について「あてはまるもの」を尋ねています。その結果、**「和室」(82.5%)がもっとも高く、次いで「大浴場」(71.1%)、「温泉」(62.2%)**という順になりました。
同調査では、旅慣れた旅行者ほど日本人との触れ合いを求める傾向があることや、旅館が「地域のショーウィンドー」として、その土地の文化を知る体験の場として捉えられていることも示唆されています。
3つの調査から見える、自社サイトに反映すべきポイント
これらの調査結果を踏まえると、海外ゲスト向けの英語コンテンツにおいて、以下の点を優先的に押さえておくことの重要性が見えてきます。
1. アクセス情報を明確に、わかりやすく
「立地」がもっとも重視される要素である以上、最寄り駅・観光地からの具体的な交通手段や所要時間は、英語ページで特に丁寧に説明すべき情報です。詳しくは「料金・アクセス・キャンセル規定、英語で「伝わる」書き方」もあわせてご覧ください。
2. 水回りの清潔さ・洋式トイレの有無を明記する
「トイレ」「入浴」への関心の高さを踏まえると、洋式トイレの有無や、水回りの清潔さが伝わる写真・説明文を用意することは、想像以上に予約の決め手になり得ます。
3. 「和室」「大浴場」「温泉」を旅館らしさの中心的な訴求として扱う
外国人宿泊客自身が旅館に求めている要素が「和室」「大浴場」「温泉」であるというデータは、これらを単なる設備紹介にとどめず、旅館ならではの価値として前面に押し出すべきことを裏付けています。文化的な説明の書き方は「英語で「和室」「布団」「大浴場」をどう説明すれば伝わるか」で詳しく解説しています。
4. コストパフォーマンスへの意識も忘れずに
「価格」も上位の判断基準として挙げられていることから、料金に見合う体験価値をしっかり伝えることも欠かせません。
まとめ:データは「思い込み」を検証する材料になる
海外ゲストのニーズについては、経験や勘に頼った判断になりがちですが、実際の調査データを参照することで、自社の訴求ポイントが的を射ているかどうかを客観的に見直すことができます。今回紹介したデータを参考に、自社の英語コンテンツが「立地」「水回り」「和室・大浴場・温泉」「価格」といった、実際に重視されている要素をきちんとカバーできているか、一度確認してみてください。
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出典:訪日外国人観光客の宿泊需要に関する調査(2026年、東急歌舞伎町タワー/HOTEL GROOVE SHINJUKU実施)、TOTO株式会社「訪日外国人の宿泊施設へのニーズ調査」、国土交通省「国土交通政策研究 第119号 旅館ブランドに関する調査研究」

